あの夏に僕がここへ来た理由
海人が廊下を抜けて入った居間には大きなテレビが置いてあった。
海人はひまわりの目をはばかることもなくテレビに電話に珍しい物全てを一心に手で触った。
「これは何ですか?
電話はなんて言えばいいんだろう。 かっこいい・・・」
海人はあまりの衝撃に次々と出てくる言葉を抑えられずにいた。
「それはテレビです。
もうかなり古い型なんですよ。
祖父母が使っていたものなので」
「テレビ?」
海人は山ほどある質問を飲み込んだ。
知らな過ぎるのもひまわりを不安にさせるだけだから。
ひまわりは不思議そうな顔をしながら海人を手招きしてソファに座るように促した。
でも、海人はおどおどするだけで中々座ろうとしない。
ひまわりはまずは自分がそこに腰かけて見せた。