あの夏に僕がここへ来た理由
ひまわりはここへ来ると、必ず最初に庭の手入れにとりかかる。
庭の手入れは、いつも心を軽くしてくれた。
内向的なひまわりは、小さい時から忙しい母に気を遣う日々だった。
父と母が別れを決めた朝も、ひまわりは何も言わずにうなずいた。
本当は父の事が大好きで、別れてほしくないという気持ちを胸の奥に押し込んで・・・
そして、ひまわりは祖父の家を季節に応じてささやかな模様替えをする。
夏には風鈴をかけリビングにはござの敷物を敷き涼しさを演出した。
穏やかに過ぎて行く時間。
そして、それはそう長くは続かなかった。