あの夏に僕がここへ来た理由
海人はひまわりの心遣いだけで十分だった。
「あ、僕はすごく汚れていて、ここの廊下に座るの大丈夫です」
ひまわりは遠慮している海人が不憫でならなかった。
「あの・・・
お風呂に入りませんか?
あ、全然遠慮しないでください・・・
さっきお風呂の準備をしたとこなので、もう入れると思います。
着替えは、祖父のものでよければ男物は揃っているので心配ないし・・・」
そう言ってひまわりはお風呂場に走って行った。
「どうぞ~~」
ひまわりは海人の返事も聞かずに急かすように海人に声をかけた。
海人は言われるがまま後をついて行き、ひまわりからタオルはこれでとか石鹸はそこにとかの説明を聞いた。
「ごゆっくり」
ひまわりは海人にそう言うと満足げに微笑んでそこからいなくなった。
その場に残された海人は風呂場をのぞいて見た。
彼女のためにも綺麗にならないといけない。
自分の体と心にこびりついた壮絶な汚れをひまわりが洗い流す機会を与えてくれたのだから・・・