あの夏に僕がここへ来た理由
海人の色黒の肌は涼しげな目元によく似合っていた。
よく見ると片目だけが二重のようだ。
鼻筋は通っていて笑うと口元から八重歯が顔を出す。
「お風呂はとても気持ち良かったです。
おじいさんの衣類まで貸していただいて本当にありがとう」
「いえ、どういたしまして・・・」
こんなにドキドキしている私は、本当に馬鹿みたいだ。
「あ、あの、ご飯食べましょ。
作っておいたカレーがあるんです。
どうぞここへ座ってくださいね」
そう言いながら、ひまわりは慌てて台所へ行った。
そして冷たい水を飲んで心のざわめきを押さえ込んだ。
今となればときめきの意味が痛い程よく分かる。
心臓が破裂しそう・・・