あの夏に僕がここへ来た理由




海人の色黒の肌は涼しげな目元によく似合っていた。
よく見ると片目だけが二重のようだ。
鼻筋は通っていて笑うと口元から八重歯が顔を出す。



「お風呂はとても気持ち良かったです。
おじいさんの衣類まで貸していただいて本当にありがとう」



「いえ、どういたしまして・・・」



こんなにドキドキしている私は、本当に馬鹿みたいだ。



「あ、あの、ご飯食べましょ。
作っておいたカレーがあるんです。

どうぞここへ座ってくださいね」


そう言いながら、ひまわりは慌てて台所へ行った。
そして冷たい水を飲んで心のざわめきを押さえ込んだ。


今となればときめきの意味が痛い程よく分かる。

心臓が破裂しそう・・・













< 32 / 234 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop