あの夏に僕がここへ来た理由
「海人さんさえ嫌でなければ今日はうちに泊まって下さい。
奥にある客間はいつもガランとしてて、海人さんがそこに寝てくれれば部屋も喜んでくれると思うんです」
「え、でも・・・」
海人が何か言いかけると同時にひまわりは奥の部屋へ走っていった。
「海人さ~ん、
お布団準備しておきますね~」
ひまわりの親切な申し出をそのまま受け入れてよいものだろうか?
そう思うことと相反して、まだ彼女と一緒にいたいと心が叫んでいる。
海人は考えたあげく彼女の言葉に甘えることにして奥の部屋へ行ってみた。
真っ白い敷き布団にふかふかの枕、薄手の掛け布団は半分に折り畳んであり、ひまわりのおもてなしに胸を打たれた。
ひまわりのそばにずっといたい。
僕は心からそう思った。