あの夏に僕がここへ来た理由
「じゃあ、そうだ。
私と海人さんは昨日から友達になった。
友達だったら、もしその人が住む所がなかったら必ず手を差し伸べるでしょ。
お金がなかったら貸してあげるし苦しんでたら助けてあげる。
だって友達だもん。
私達は昨日あの公園で親友になった。
友達なら、そう海人さんには働いてもらおうかな。
あの家は祖父が亡くなってから色んなところががたがきてるの。
庭ももっと綺麗にしたいし、雨どいは壊れてるし・・・」
海人はまだ下を向いている。
少しの間の沈黙のあとに、ひまわりは海人に見えるように砂浜に“友達”と書いた。
彼は驚いた顔でひまわりを見つめた。
海人はしばらくの間、ひまわりが書いた友達という文字をずっと見ていた。
そして、海人もひまわりの足元に大きく“友達”と書いた。
いつか必ずこの恩は返す。
何があっても・・・