あの夏に僕がここへ来た理由



居間へ行ってみると甘いスイカの匂いがした。
食べやすいように小さく切って皿に載せてある。
海人はひまわりがテーブルについてから一つを口に放り込んだ。


「すごく甘くて美味しい」


海人がそう言うと、ひまわりも一つほおばってみた。


「本当だ。
めちゃくちゃ美味しい。

これは荒れ放題の庭を片づけてくれている海人さんへのご褒美です。
甘くて良かった~」


海人はひまわりを見て微笑んだ。
ひまわりの笑顔はいつでも僕を癒してくれる。


夕方近くになると、雲が低く垂れこみあたりを覆ってきた。
真っ黒い雨雲が空を埋めつくす。
海人は外をぼんやりと見ていると、3日前の雷雨を思い出した。
海人がここへ来た時、外は雷が光り大粒の雨が降っていた。
そして今、外はあの時のような異様な暗闇が襲ってきている。


家に帰れるかもしれない・・


一瞬そう思った海人はいても立ってもいられなくなり、ひまわりの家を飛び出してしまった。








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