あの夏に僕がここへ来た理由
ひまわりはそうは言ったものをまだ半信半疑の自分がいた。
「海人さんは戦地にいたの?」
「うん」
海人はこわばった顔で短くそう答えた。
ひまわりは海人が戦争の話には触れてほしくないのだと思い、海人の家族の話を聞くことにした。
「海人さんの家族は?」
海人は少しだけ笑顔になりソファに寄りかかった。
「僕の家族は母と妹2人です。
父は下の妹が生まれる前に死んだんだ。
僕が13歳の時だった」
それから、海人は自分の家族の話をたくさんしてくれた。
一見、幸せな表情を浮かべているように見える海人の顔に時折寂しさがにじみ出る。
私はふと思った・・・
海人のお母さんや妹さんたちは、何も知らずに海人の帰りを待っているはずだと・・・
海人を家族の元へ帰してあげなければならないと・・・