あの夏に僕がここへ来た理由
「さくら、さっき言ったこと忘れたの?
質問攻めは海人さんに迷惑でしょ」
ひまわりがそう言うと、さくらは舌を出して苦笑いをした。
「ひまちゃん、海人さんに麦茶持ってきてあげて。
すごい汗かいてるよ~」
何も知らない海人は、ひまわりを見て困ったように微笑んだ。
さくらは、小さい時から男の子によくモテた。
可愛い顔をしているし、明るい性格がとても魅力的だった。
ひまわりは、自分の海人に対する気持ちの大きさに改めて気がついた。
なぜなら、二人が話す姿を見ているだけで涙がこぼれそうなるから。
やきもちなんてはじめて知った。
それもかなりの重症だ。
そして、ひまわりは二人の前に不機嫌に麦茶を置いた。
無意識に心と体は嫉妬の感覚にとらわれ、ひまわりを困惑させた。