あの夏に僕がここへ来た理由
「私から聞いたって絶対言わないでね。
ひまちゃんにとってお父さんのことは、触れてはいけないことなのかもしれないから・・・」
ひまわりは、海人の前ではいつも笑っている。
だから、さくらから聞いた話は海人にとって衝撃的だった。
「ひまわりさんは、きっと寂しかったんじゃないのかな・・・」
「だから、海人さんが今近くにいるんでしょ。
いいな~、ひまちゃん。
私も海人さんみたいな彼氏がほしいな~」
「さくらさん、彼はいないの?」
海人はさりげなくさくらに聞いてみた。
「いないんです・・・
ねえ、ひまちゃんから海人さんを奪っちゃってもいい?」
さくらは真剣な眼差しで海人に聞いてきた。
海人が言葉を失っていると、さくらは笑いながらこう言った。
「半分、本気だよ」