猫になりたい少女のお話
憧れていた猫の姿になれた少女は、
見慣れた家の前の道を歩きます。
毎日見て学校に行く家の壁や屋根も
猫になった少女の目にはとても大きく見え、わくわくしました。
しばらく誰もいない夜の道を4本足で歩いていた少女ですが、
段々歩くにつれ喉が渇いてきました。
何か飲みたい。
そう思った少女の視界にはいったのは、
街灯が少ない道でも良く目立つ自動販売機でした。
少女は知っています。
この自動販売機には少女が大好きなオレンジジュースが売っているのだと。
しかし喜びも束の間。
少女はお金を持ってくるのを忘れてしまい、
仕方なく来た道を戻り家に帰ることにしました。
家を囲む塀を上り木を伝い2階の少女の部屋の中。
お目当てのお金が入る財布を見つけました。
小さなお財布には少女がお母さんから貰う100円玉が入っています。
大好きなオレンジジュースは100円。
勉強は苦手でも簡単な算数なので少女は買えることを知っています。
でも部屋の中で財布を見つけた少女は困り果てます。
お財布にはチャックがついているのだから。
肉球がついた猫の手でチャックを開けることは出来ません。
もし人間だったら
簡単に開けられたのにな……
少女はオレンジジュースを諦め
再び木を伝っており塀を乗り越え夜の道を歩きだしました。