猫になりたい少女のお話
すると。
「カーッ」
突然の高い声に驚いた少女は辺りを見渡します。
そして驚きました。
少女の近くには、
少女の何倍も大きなカラスがとまっていたのです。
少女は驚いて逃げ出しますが、
カラスには羽がありますし、
喉が渇いている少女は遠くまで逃げることが出来ず
すぐに追いつかれてしまいました。
もう終わりだ!
少女がそう思った時です。
突然暗かった辺りが一瞬明るくなり、
少女が眩しくて目をつぶった時にカラスは飛び立って行きました。
「危なかったの。
わしがいなかったらと思うと恐ろしいよ」
周りを一瞬明るく照らしたのは
二本足で立つあの猫でした。
「今はわしが助けたけど、本当だったらキミが自分でやっつけて戦わなくてはならなかったんだよ」
驚きお礼を言えず固まる少女に
真っ白な猫は呟くように言いその場を去って行きました。
少女はあんな大きなカラスに立ち向かう猫を見たことがありませんが、
確かに自分の身は自分で守らなくてはいけないと、人間と同じことに気付きました。
……それでもわたし、猫が良い。
少女は公園から逃げるように4本足で駆け出しました。