猫になりたい少女のお話
でも疲れた体ではどこへも行けず、
少女は家の周りをウロウロするだけで、
とうとう道の真ん中に座り込みました。
すると。
道の向こうに何だか山みたいに膨らんでいる影が見えます。
山のようですがこの辺りは住宅街なので家ばかり。
山なんて見えないはず……。
不思議に思った少女は山へ近づき、
その正体を知り思わず「にゃーっ!?」と猫の叫び声を上げました。
少女には山に見えていた影。
それは道に倒れているおばあさんでした。
少女はおばあさんが、
近所に住む意地悪な人だとわかり、
逃げ出そうとしました。
しかしおばあさんは道に倒れて動きませんし、
人間が通るような時間ではありません。
少女は「にゃん!」と
猫の言葉で「おばあさん!」と呼びかけますが、
おばあさんはピクリとも動きません。
……誰か呼ばなくちゃ
少女は誰かを呼ぶため走り出しました。
疲れた体なんてもう、忘れていました。