遅咲きの恋
「……離せ亜樹」

「離さない!稜也がちゃんと話してくれるまで絶対に」


ぎゅっと抱き着けば、彼の肩がピクリと揺れた気がした。
それを見て更に力を強める。
やっぱり、稜也は何かを抱えている。
それが分かるからこそこの手を離したらいけない気がするんだ。


「何で1人で抱え込もうとするの……?
稜也はいつだってそうだった……。
高校生の時からずっと!!」

「……」

「こんなに近くにいるのに……。
凄く遠いよ……稜也……」


彼の背中に顔を埋めて。
震える声で訴える。

だけど。
稜也には私の声なんて届いていないんだ。


「っ……」


バンッと体を突き飛ばされる。

その勢いで私は尻餅をついてしまった。


「稜也……?」

「……だろ……」

「え……?」

「言える訳ないだろ!!」


突然の大声に私は目を見開いてしまった。
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