遅咲きの恋
「俺はお前が好きなんだっ」


彼の顔を見上げる事が出来ないくらい、強く抱きしめられた。
ピタリとくっつく私たちの体。
お互いの鼓動が交じり合って。
心地良いリズムを刻んでいた。


「結婚なんてするなよっ……」

「っ……!!」


小さな悲鳴は掻き消されるんだ。

稜也に落された、優しいキスによって。

触れ合うだけの。
子供同士のキス。

だけど。
胸がおかしくなるくらい熱くなった。

煩く動き続ける鼓動。


「亜樹……亜樹……」


呼ばれ慣れた私の名前。
貴方の口からだって何度も出てきた。

それなのに。
初めて呼ばれたかのようにドキドキするんだ。


「あっ……」


何度も、触れるだけのキスが繰り返される。

それ以上の事だって。
優輝とは沢山しているのに。

体が熱くなって。
蕩けてしまいそうになった。
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