遅咲きの恋
「でも、お前は今、幸せじゃない……そうだろう?」

「何言って……」

「結婚は互いを縛り付ける為にするものなのか?」


彼のその言葉にピタリと固まってしまう。

だって、それは私自身も思っていた事だから。

私と優輝のすれ違いの生活。
それに終止符を打つ為に、結婚という形を取った。

同じ家にいれば、お互いを感じられると思ったから。
どんなに忙しくても。
お互いの温もりを身近に感じられると思った。
好きだという想いが消えていかないと思った。

だけどそれって。
本当の愛じゃないって、何処かで思っていたんだ。

だって、結婚って……。


「本当に愛している奴とするのが結婚だろう……?」


頭に浮かんだ事が貴方の口から出されていく。

その通り過ぎて。
私は力なく笑みを浮かべる事しか出来なかった。


「そう……だけど……」

「だったら何でお前はアイツと結婚するんだ……」

「な、何でって……好き……だか……」


最後まで言えなかったのは。
きっと、分かっていたからだ。

私はいつからか……。
優輝への愛情を失くしてしまっていた事に。
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