遅咲きの恋
「いや……綺麗ごとを並べたが……。
俺はただ……お前を失いたくなかっただけだ……」


震える手が、そっと私の唇をなぞった。
ピクリと肩が揺れるけれど貴方を見つめる。

理由は分からない。
でも、稜也を見ていたかったんだ。

彼の瞳は熱を帯びていて。
私を求める様な、そんな視線。

何故、私は貴方の気持ちに気が付かなかったのだろうか。
そう疑問に思うくらい。

今思えば。

いつも、1番近くで支えてきてくれたのは。
優輝ではなくて、稜也だった。

警察官になりたい。

そう、皆に話した時も。

優輝や他の皆は危ないからと言って、いい顔をしなかった。

でも、稜也は。
私の想いを尊重してくれた。

危ないとは分かりつつ。


『俺が守る。だからお前は好きな様に歩け』


そう言って常に私の隣に立っていてくれた。

どんな時も、私を見守って、支えて。

一緒に闘ってくれた。

高校の時から、ずっと。
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