遅咲きの恋
「稜也……私……」

「もう何も言うな。何も聞きたくない……」

「んっ……」


何度目か分からない触れるだけのキス。

親友だった私たちを変えるイケない行為。

私は明日、違う人と結婚をして。

貴方と過ごした今日は、暗闇に放り込まれる。

私たちは心の中で何かを想いつつ。
口に出さずに、いつもと同じ生活を送るんだ。

でも、そんなの……。

ツーッと涙が頬を伝って唇まで流れていく。


「泣くな……泣かないでくれ……」


それを貴方は優しく吸い取って。

私たちの口にはしょっぱい哀しい味が広がっていくんだ。


「稜也……」

「もっと、呼べ」

「稜也……稜也……」

「好きだ亜樹、愛してるっ」


哀しみが溢れた顔で。
貴方は私に愛を囁く。

結ばれないと、繋がらないと。
貴方は分かっていて。
それでも、何度もキスを繰り返すんだ。
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