遅咲きの恋
カーテンから光が差し込んできて、夜が明けたという事を示していた。

数時間前に目が覚めた私。

黒を基調としたセミダブルのベッド。
そこで私は眠っていた。
隣には貴方がいて、頬には乾いた涙の跡が残っている。

それを見ながら、考えていたんだ。

私がどうするべきかを。

でも、答え何て出せなくて。
いっぱい、いっぱい、考えた。

普段使わない頭をフル回転させて。


私たちの間には体の関係はなかった。

お互いの体にはスーツが身に纏われていて。
皺くちゃになってはいたけれど、脱ぐ事はなかった。

触れるだけのキスを繰り返して。
何度も貴方の甘い愛の囁きを受けて。

そして、2人で眠ったんだ。

抱き合ったまま。

でも、朝になったらお互いの体は離れていた。

まるで、私たちの関係を表すかの様に。

私と稜也は一緒にいてはいけない関係だ。

親友とはいえ、同じベッドで眠るなんて許されない。

それでも私がこのベッドから降りないのは。
目が覚めた時点で帰ろうとしないのは。

きっと……。
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