初恋の彼が、割と重度のフェチ持ちでした
そう言ってもう一歩後ずさると、足がもつれて思わずうしろに転びそうになった。

「危ねっ」

とっさに柊ちゃんが私の右手をつかみ、引っ張ってくれたおかげでなんとか転ばずに済んだ。


「気をつけろよなぁ〜」

「ご、ごめん」

「ていうか、となりに立つの嫌なわけないだろ。俺だってそれなりに背あって、なずなよりは高いんだから」

確かに、柊ちゃん、昔はクラスでも小さい方だったのに、今はすごく背が高い……。


「……背高いのコンプレックスなの?」

柊ちゃんからの質問に、私が「少し」と答えると。


「高くていいじゃん。スラッとしてキレイに見えるし、それに、お前の足……」

「足?」

「あ、いや」

柊ちゃんはなぜかそこで言葉をやめてしまった。
足、がなんだろ?


そんなやり取りをしていると、タクヤくんが会計を終えて店から出てきた。そして、

「柊一、二次会のカラオケ行く?」

タクヤくんが柊ちゃんにそう聞くと、柊ちゃんは「俺はちょっとやめとく。明日も仕事なんだ」と答えた。

ウソ、柊ちゃん二次会来ないの⁉︎ 私は明里ちゃんに二次会へ連れていかれるだろうから、柊ちゃんとはここでお別れ?
まだLINE聞けてないよー!


どうしようどうしようと私が焦っていると。


「なずなも明日忙しいから二次会行かないって」

と、柊ちゃんがタクヤくんにそう言った。
え……? 明日忙しいなんて言っていないけど……どういうこと?
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