初恋の彼が、割と重度のフェチ持ちでした
「うん……」

「俺と付き合ってくれないかな」


胸が、きゅんと高鳴った。期待していたとはいえ、デートに誘ってくれるかな、くらいに思っていただけだったから、まさか告白されるとまでは思っていなかった。

だけど、私の答えはもちろん、


「うん。私も柊ちゃんのことが好きだよ」

話しかけられるとうれしくて、ドキドキして。恥ずかしくもなるけど、幸せな気分にもなれる。

私も、柊ちゃんにまた恋をした。



「ありがとう。よかった。よろしくな」

柊ちゃんはそう言ってにこっと笑い、


「あ、そうだ。LINE教えてくれる?」

「うん。私もさっき居酒屋さんで聞こうと思ってた」

「そうだよな、普通LINEが先だよな。先走っちゃってごめん。なんか、言わずにはいられなくて」

「ううん。言ってもらえてうれしかったから……」

柊ちゃんのLINEのアイコンは、かわいいミニチュアダックスだった。実家で飼っている犬で、ペペちゃんというメスらしい。
小学生のころは飼ってなかったはずと思って聞くと、中学二年生の時に飼い始めたらしい。

柊ちゃんとは十七年前からの知り合いだけど、毎日いっしょに過ごしたのは一年間だけ。当然、私の知らない柊ちゃんの方が多い。背が高くなっていたことも、犬を飼っていたことも知らなかった。


だからこれから、ゆっくり時間をかけてでも、もっといろんな柊ちゃんを知っていきたいな。
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