初恋の彼が、割と重度のフェチ持ちでした
その時。

突然、ベッド横のサイドテーブルに置かれていた柊ちゃんの携帯が鳴った。


「会社の後輩からの電話だ。ちょっと出ていい?」

もちろん、と答えると、柊ちゃんは「もしもし」と通話を始める。


「うん、うん……。え? モデルが撮影に来られない?」

柊ちゃんが少し困惑したような声色で電話をしている。


「高熱? うん、うん……。いや、スケジュール的に延期は無理だよ。代役? いや、急に代役って言われても。うん、うん……。足だけだからってサイズが合えば誰でもいいってわけじゃないだろ。カタログに載せる写真なんだから、細くて白くて、なにより長くて写真映えする足の人じゃないと……」


柊ちゃんはそこまで言ったあと、私の方をちら、と見て、「あ」となにか思いついたかのような短い声を出すと、電話の向こうの後輩さんに「安心しろ。代役として適任者がいた」と答えて、電話を切った。そして。


「というわけでよろしくお願いします」

「なにが⁉︎」

今の話の流れからすると……私がモデルさんの代役ってこと⁉︎ 無理無理‼︎ 絶対無理‼︎


「頼むよ。夏に発売する新商品がメインの大事なカタログなんだ」

「大事な撮影ならなおさら私になんて無理だよ〜!」

「お願い!」

う……。そんな真剣にお願いされたら……断れないよ〜‼︎


結局私は、引きずられるように柊ちゃんにスタジオに連れていかれた。
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