初恋の彼が、割と重度のフェチ持ちでした
それから十八年後。


白田(しろた)なずな、二十五歳。

食品メーカーで事務職として働く、ごく普通のOLです。


「あー、なずなー。こっちこっちー」

駅前の大広場の時計台の前で、そう言って手を振ってくれる明里(あかり)ちゃんの元へ、私は走っていく。


「ごめん明里ちゃん。仕事長引いちゃって」

「大丈夫だよー、まだ時間あるし。それより珍しいじゃん、なずなが私服でミニスカなんて」

そう言って明里ちゃんは、私がはいている花柄のプリントがされているスカートに視線をおとした。ミニスカといっても膝丈だけど、たしかに私が私服でこの丈のスカートをはくのは珍しかった。


「うん。ほんとはパンツにしようと思ったんだけど、ショップの店員さんがこのスカートすごいオススメしてきて、なんか断れなくて」

「気弱いもんねー、あんた。でもいいじゃん、似合ってるよ。ていうかせっかく長くてキレイな足してるんだから、いつもそういうスカートはけばいいのに」

明里ちゃんからのほめ言葉に、私は苦笑いで返した……。


長くてキレイな足。もちろん、そう言ってもらえることがうれしくないわけじゃない。
でも、身長百七十四センチという、女性にしては高すぎるこの身長は、私にとってコンプレックスでもあった。どこにいても目立っちゃうし、となりに並ぶと男性に嫌がられることもあるし。ついでに、運動神経ゼロなのに、身長が高いだけで『スポーツできそう』とか言われる。まあそれはいいんだけど。
だから、私にとっては無駄に長くて迷惑なこの足を隠すために、私は普段はなるべくパンツをはくようにしていた。パンツをはいたところで足の長さは隠せないけど、スカートで直に足を見せるより、なんとなくマシだと思って。
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