初恋の彼が、割と重度のフェチ持ちでした
「……そうなんだ」

「あ、くすぐったかったら遠慮なく言ってくれよ」

そう言うと柊ちゃんはスポンジにボディソープをつけて、私の右足を洗い始めた。


……なんだこの光景。



「はあ、ほんとキレイだよな、なずなの足」

「……ありがとう」

褒められてるのに、素直に喜べない。
柊ちゃんが足フェチでも構わないって言った手前、こういうことされてても怒れないんだけど。


「じゃ、左足出して」

「……うん」

私が左足を出すと、柊ちゃんはまたうれしそうに左足を洗ってくれる。


……私、柊ちゃんが笑ってくれるの、うれしい。

でも、なんか……。



「はい、終わり!」

柊ちゃんは私の足についたボディソープをシャワーでキレイに洗い流すとそう言った。

……もしかしたらこのあと、「普通にいっしょにお風呂入ろう」とか言ってくれるのかと思ったけど、そんなことはなかった。

ただ、私の足を洗って、それで終わりだと言われた。


足しか触られなかった。

服を脱げとも言われなかった。それどころか服を着て風呂に入れと言われた。



「なずな、足拭いてやるから早く来い」

お風呂場の戸を開け、脱衣所でタオルを持ちながらうれしそうにそう言う柊ちゃんに対して私は、



「……柊ちゃんのバカ!」


私にしては珍しく、盛大に怒鳴り声を上げた。
私の性格的に怒鳴るとは思わなかったのか、いや、そもそもなんで怒鳴られたのかわからないのであろう柊ちゃんは、ぽかんとした顔で私を見つめた。
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