初恋の彼が、割と重度のフェチ持ちでした
デート
土曜日。柊ちゃんが車で家まで迎えに来てくれるとのことだったので、私は家で支度をしていた。今日はこの間彼が言っていた通り、私が行きたいところにどこでも連れていってくれるらしい。


きちんとメイクをして、着替える。


柊ちゃんが足フェチでも、仕方ない。足を見せて喜んでくれるのなら、私もコンプレックスだらけのこの足に自信を持てるかもって最初は思っていた。
……でも、自信を持つどころか、足のせいで自分に完全に自信を失くしてしまった今、ミニスカートで足を出そうとは思えなかった。
私は、いつものパンツをはき、出かける準備を整えていた。


車の音が聞こえたので、家を出て駐車場に降りる。ちょうど柊ちゃんが来たところだった。


「おはよう」

あいさつをして、私は助手席に乗りこむ。

柊ちゃんは、私が今日パンツをはいていることにたぶんガッカリしていると思う。柊ちゃんと付き合うようになってからは、柊ちゃんが喜んでくれるから私もニガテなスカートばかりはいていたし。だけど今日は、柊ちゃんのそんな気持ちには気づかないフリをした。



「なずな、どこ行きたい?」

まっすぐに前を見つめて運転をしながら、柊ちゃんがそう尋ねてくる。


「えと、どこでも……」

「今日はなずなの行きたいとこに行くって言っただろ」

「えーと……じゃ、映画!」

映画な、と答えて、柊ちゃんがハンドルを切る。


その後、映画を観たあと、柊ちゃんに「昼はどこで食べたい?」と聞かれ、私の希望したレストランに向かった。
おいしいご飯をいっしょに食べて楽しかったんだけど、このあと行くところも私が決めなきゃいけないんだよな、と思って、行き先を必死に考えていると。
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