初恋の彼が、割と重度のフェチ持ちでした
そうか、柊ちゃん……そんな時から私のことで嫉妬なんてしてくれてたんだね……。


「ま、今だったら余裕だけどな」

「え、なにがーーきゃっ⁉︎」

思い出の雲梯をバックに、柊ちゃんは私のことを軽々と抱っこしてみせた。


「しゅ、柊ちゃん! おろして、重いでしょ!」

「全然? なずな、ちゃんと飯食ってるのか? 背高いわりに体重軽すぎ」

「ふぇぇ」

「はは。雲梯から降りられなくなった時と同じ顔してる。ウケる」


柊ちゃんめぇぇ……! ちょっと強引で、時々ちょっと意地悪だ。だけどかっこよくて、やさしくて、ずるい!

それに……



小学生の時は私より低かった目線が、今は高い。私を抱っこすることができなかった腕は、今はたくましく、こんなに軽々と私を持ち上げる。



私は

正面から、ぎゅっと柊ちゃんに抱きついた。


柊ちゃんも、私を抱きしめてくれた。



私、柊ちゃんと出会ってから今までの中で今が一番、柊ちゃんにドキドキしているよ……。




ひと通り遊具に触れたあと、私たちは小学校をあとにした。

手をつないで、当時の通学路をいっしょに歩いてみる。
そういえば、小学生の時の私は、柊ちゃんといっしょに登下校することはあっても、柊ちゃんと手をつないでこの道を歩くことはできなかった。したかったけど、手をつなごうって、勇気を出せなくて言えなかった。それなのに今、彼と手をつないで、この道を歩いている。すごく幸せで、不思議な気分だった。
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