初恋の彼が、割と重度のフェチ持ちでした
私がそう言うと、明里ちゃんが明るく答えてくれる。

「うん。柊一、小学生の時に地方に引っ越して、高校まではそっちに住んでたんだけど、そのあとはこっちの大学通ってたんだって。そんで、そのままこっちに就職したから、もうずっとこっちにひとりで住んでたみたいよ。で、先日、会社の取引先の飲み会だかなんだかで、偶然タクヤと再会して、意気投合したみたい。小学校の時から柊一とタクヤ、仲よかったしね。で、今日の幹事であるタクヤが、柊一のこと引っ張ってくるみたい」

そうなんだ。まさかそんなに前から柊ちゃんがこっちに戻ってきてたなんて。
ちなみにタクヤくんというのも私たちの当時のクラスメイトで、クラス一のムードメーカー的存在だった。


「そんなに期待しない方がいいんじゃないの? 柊一、結婚してたっておかしくないよ? そうでなくても彼女いるかも。見た目だって、当時はかわいい顔した普通の男の子だったけど、今見たらガッカリなルックスに成長してる可能性だってある」

私の顔を覗きこみながら、明里ちゃんがニヤニヤと楽しそうに笑う。


「き、期待なんてしてないよっ。ずっと会ってなかったから、今はどんなふうになってるのかなって少し気になってるだけ」

その言葉にウソはなかった。そりゃあ、私は今は彼氏いないけど、だからといって十八年ぶりに会う柊ちゃんとそんな関係になるなんて考えてもない。
……それに、柊ちゃんはあくまでタクヤくんに引っ張ってこられるだけだ。私のことなんて、覚えていないかもしれない。
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