初恋の彼が、割と重度のフェチ持ちでした
柊ちゃんのアパートの駐車場まで着くと、柊ちゃんは車を停め、キスをしてきた。

誰かに見られちゃうよ、と私は言うけど、柊ちゃんは誰も見てないよ、と答えて、キスをやめない。

もう家に着いているのに、こんなところでキスなんて。
だけど、

「部屋まで行く時間すら惜しく感じる」

柊ちゃんのその言葉に、素直にうれしくなってしまったのも事実だ。



柊ちゃんのキスは、だんだんと深いものへと変わっていく。

頭を固定されて、逃げられない。息が苦しくて、くらくらするくらいに激しい。


「ん、んぅん……」

「……かわいい」


……そんでちょっとエロい。柊ちゃんにそう言われ、私は全身にカッと熱が走ったような恥ずかしさを感じた。


「柊ちゃん、意地悪だよ……」

「好きな女の子には意地悪したくなるんだよ。小学生みたいって思うかもしれないけど、男は何歳になってもそんなもんだよ」

「柊ちゃんは小学生の時は意地悪じゃなかったよ。いつもやさしくしてくれた」

「じゃあ昔の俺の方が大人だったな」

柊ちゃんはあははと軽く笑ったあと、また深いキスをしてきた。


でも、すぐに。


「……ダメだ、これ以上キスすると、ガマンできそうにない」

そう言って、私から離れた。


「え、なに?」

「……これ以上キスすると、たぶん、なずなの足に触れちゃうから」

「足……」

「今日は、俺の足フェチのせいでなずなのことを傷つけたお詫びだから、なずなの足は触らないって決めた。まあ、靴を買った時に無意識にあんなことしちゃったんだけど……。でもあれ以上のことは、今日はもうしない。だから……」


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