初恋の彼が、割と重度のフェチ持ちでした
感触は、嫌じゃない。でも、これ以上はやっぱりこんなところじゃマズいかな……と、そう思った時だった。


「……柊ちゃん?」

急に足への感触がなくなり、不思議に思って顔を少し上げると、柊ちゃんは私から少し離れ、なぜか右手で口もと覆っていた。


「柊ちゃん、どうかした?」

もう一度彼の名前を呼び、なにがあったのかを尋ねると。


「……ヤバい」

「え?」

「……どうしよう、すごいかっこ悪いんだけど…………鼻血」

「えぇ!」

私は慌てて体を起こし、シートの脇に置いておいたハンドバッグからポケットティッシュを取り出した。


「柊ちゃん! はい、これ使って!」

「……足に興奮して鼻血まで出すとか、俺、世界の変態ランキングに絶対ランクインできるよな……」

「き、気にしないで……」

さすがにちょっと驚いたけど。でも、ここでの続きは無理だね。柊ちゃんの鼻血が治まったころ、私たちは車を降りた。




その後、冷蔵庫にあったもので簡単な夕飯を作って、いっしょに食べた。


「結局、お詫びのデートのはずだったのに、鼻血は出すわ夕飯は作らせるわでほんとごめん」

申しわけなさそうに柊ちゃんはそう言うけど。

「そんなことないよ! あんなにかわいい靴をプレゼントしてもらって、これ以上ないってくらいに幸せだよ! 靴、絶対大事にするね!」

私が笑顔でそう言うと、柊ちゃんも「うん」と答えてくれた。
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