初恋の彼が、割と重度のフェチ持ちでした
もちろん、久しぶりの同窓会なんだし、とくに柊ちゃんにとっては私以上にみんなと会うのは懐かしいはずだ。私だけじゃなくて、いろんな人と話をしてほしいって思う。

でも、さっきのはびっくりした。私も目をそらせなかったけど、柊ちゃんが、やけに熱っぽい視線で見つめてくるから……。


……彼氏いないのかって聞かれたことや、彼女いないよって言っていたことに、少し期待してしまったのが本音だった。



二時間後。一次会はお開きとなった。このあとはおそらく、帰る人と二次会に行く人に分かれる。とりあえずは、タクヤくんが会計をしてくれてる間、みんなで店の外で待つことになった。


……なんとなく、柊ちゃんの姿をきょろ、と見回して探すと。


「なずな」

柊ちゃんも私を探してくれていたのかそれはわからないけど、声をかけてくれた。


結局、あのあとは柊ちゃんと全然話すことができなかった。
だから、LINEのIDを聞くなら今がチャンスだよね⁉︎


「あ、あの、柊ちゃん」

「……あれ?」

柊ちゃんは私のことを見ながら、なぜか小首を傾げた。柊ちゃん?と尋ねると。


「さっきとなり同士座って話してた時ももしかしてって思ってたけど、なずな、やっぱ背高いんだな」

「!」

私は思わず柊ちゃんから数歩後ずさりした。


「ごごごごめん! となりに立たれるのやだよね⁉︎」

「え?」

「む、昔から男の人にはとなりに立つのよく嫌がられて! しかも今日はヒール履いてきちゃったし、その!」
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