ズボラ女が恋する瞬間
「でも俺らも仕事を取るために、それなりに苦労はしてる。楽して取って来た仕事なんて、1つもない」

「・・・はい」

「別に俺は、デザイン部を下に見てるわけじゃない。ただデザインが、お前らの仕事だろ?それなのに妥協や手を抜くなんて、それは俺らに対する冒涜だ」


それを、あたしはしてしまった。

ちゃんと、自覚はある。


「せっかく舞い込んで来たチャンスを潰すのは、勿体ねぇだろ。そのチャンスで、お前が認められるかもしれねぇのに」

「認められる?」

「相手が誰でも成果を出せなきゃ、誰も納得させられない。そのチャンスを、お前は今回逃した」


あたしの為に、三浦は怒ってるの?


「もう、そんなバカな真似はするな。お前の手掛けたデザインが、可哀想だ」

「ごめんなさい」


素直に、謝罪の言葉が口から零れた。

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