ズボラ女が恋する瞬間
彼のことを、彼氏と呼んでもいいのだろうか?

もう、何年も連絡も取ってない人のことを。

彼が転勤する前までは、自信を持って彼氏だと言えた。

だけど、いつからだろう?

彼の存在が、彼氏からよくわからない人に変わったのは。

自分でも気付かないうちに、彼の存在がわからなくなっていた。


「居るのか?」


口を閉ざしていたあたしに、三浦はもう1度同じことを聞く。


「三浦さんに、関係ありますか?」


話を誤魔化すために、あたしはそんな言葉を返す。


「あぁ。まぁ、居ても居なくても、関係ねぇけどな。俺は」


何それ。

だったら、聞かなきゃ良いのに。


「さっきも言ったけど、流されてたら困るから、もう1回言っとく」


そう言い、三浦は立ち止まる。

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