ズボラ女が恋する瞬間
気持ちの変化
あたしと彼は、社内恋愛だった。

社内恋愛と言っても、あの頃のあたしは大学生だった。

彼が働いている会社で、あたしはバイトとして働いていた。

所属の課は違えど、同じフロアで働いていた。

同じ課でもない、社員とバイトが話をする機会なんて早々ない。

だから、親しくもなかった。

強いて言えば、顔を合わせれば挨拶を交わすくらいだった。

そんなあたしと彼の関係が変化しだしたのは、バイトの最後の日だった。


『泉さん』


そう、会社で声を掛けられた。


『お疲れ様です』


あたしは、当たり障りのない挨拶を返した。


『あの・・・』


緊張した面持ちで、彼は言葉を繋ぐ。


『ずっと気になってて・・・良かったら、連絡先教えてくれませんか?』


そんな彼に、悪い印象はなかった。

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