君はヒロイン
夕飯を終えて、お父さんは仏間に僕らを呼んだ。

「……那智。こんなこと、言いたくないのだが…」

「なあに、どうしたのお父さん…なんか、なんかあったんだよね?」

お母さんの様子も変だった、那智の名前が聞こえた事も気になる。

お父さんの目にうっすら涙がにじむ。

「!」

成実はお父さんのいつもと違う様子に不安になり、僕の服のすそを引っ張る。

「みねちゃんが……亡くなった」

「!!!??」

僕は思わず固まり、目を見開く。

「…………嘘だ…」

驚きに満ちた、同時に疑問も。

「嘘じゃない、みねちゃんは……」

お父さんは俯き、僕らを強く抱きしめた。

「怖い、お父さん」

成実は強く僕の腕とお父さんにしがみつく。

「大丈夫、大丈夫だからな、お父さん必ずお前らを守るから」

「みね……が…」

僕は頭が真っ白になって、ただお父さんに抱きしめられた温もりだけが心のよりどころに感じた。

「し……んだ……の…?」

溢れる涙が止まらない。

そしてまだ、信じられない気持ちも強かった。

その夜、お母さんは帰らずお父さんと成実と僕は身を寄せ合うようにして就寝時間を過ごした。

そして、僕は不思議な夢を見た。




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