小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜
私たちは河原で空を見上げていた。

学校から少し離れた川。

その橋の下の目立たない場所。

秘密基地みたいなその小さなスペースにふたりで座った。


サトルは何も聞かずに黙って空を見てた。


私もつられて空を眺めた。


「青いな〜!空!」


サトルはそう言ってのびをする。


でも私の目に映るのは灰色の空。


「ナナ−!そろそろなんか言えばぁ〜?」


サトルは明るく言うと私のほっぺをツンとつついた。


「イタッ!ちょっとサトルっ!」


私は少しだけ呆れて笑った。


「‥やっと笑ったっ!ナナ!」


サトルは立ち上がって言った。


「ナナは困った奴だなー!」


「‥‥」


「ほっとけねーもん!ズルいよなー!」



サトルはわざとそんな風に言って川に石を投げた。


ぽちゃん‥


かわいい音をたてて石が川に落ちる。


「ナ〜ナ!おーい!」


サトルは私を元気づけようとしてふざけたり、
憎まれ口たたいたりしてくれて‥。


私の心は少しずつ軽くなる。


「‥サトル、ありがと!ほんとに、ありがとね!」







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