小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜
「もう少し待って?片付けるし!赤ちゃん産まれて落ち着いてからでも遅くないっしょ?」


俺はさすがに抵抗があった。

そりゃそうだよな。

俺、付き合ってもいない子と結婚して父親になれって言われてるんだから。
いくらそれが親友の彼女とその子供だからって…。


そんなんで思考がついていったら逆におかしくね?





その週末。

ナナコは約束通り俺のアパートに来ていた。
…とは言っても俺が地元まで迎えに行ったんだけど。


そしてナナコは俺の部屋に泊まった。

変な感じだった。

仲間が泊まるのとも
ナンパ成功して女の子を泊めるのとも…

違う。


急に知らない人と当たり前に家族ですって言われたみたいな。
…昔の人はみんなこんなだったのか?なんてふと思う。
許嫁や政略結婚ってこんな感じなんかな…?

なんてポカンと考えていた。



―――その日の夜。



「ハルトくん…?」


暗い部屋の中、ナナコが呼ぶ。

「…ん?」

俺は今日一日の運転と俺らしくもない気疲れでうとうとしていた。

その俺がナナコに一発で目を覚まされた。


「…ねぇ…何もしないの…?」





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