小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜
俺はこのどうしようもない気分を洗い流したくてシャワーを浴びた。

シャワーを浴びたところでこの想いがキレイに流れ落ちるわけがないこともわかっていながら、それでもそうすることしか出来なかった。



シャワーを浴びると酒屋へ向かった。
あびるほど酒を飲んでしまおう…。
少しでいいから忘れたい。
一瞬でもいいから楽になりたい。


大量の酒を買い込むとこの前シャンパンを買ったときにいた酒屋のおっさんが俺を見た。

「よぉ!シャンパンどうだった?」

「…あぁ…なかなか!」


辛い質問投げ掛けてくんなよ、おっさん。


少しまたテンションを下げながら俺は家に戻った。



暗い部屋に携帯のランプが光っていた。
着信かメールかどっちかがあったというお知らせランプだ。

俺は手探りで電気を点けるとケータイを手に取った。
…誰だろう?

ナナコかも知れない。

いろんなことが面倒になり俺はケータイをソファーに投げ出した。

ケータイを開くこともなく、俺は缶ビールを勢いよくあけた。



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