小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜
……ナナ……!?



俺の心臓は本当に文字通り“ドクン!”と波打った。

手を当てていたら恐ろしく跳ね上がっただろう。


そっとそのメールを開き表示する。



【私はハルトが好きだよ ナナ】



………。

―――――ポタン。

涙が溢れ落ちた。
止めどなく溢れる涙はケータイの画面をただ濡らしていた。




こんなことって…

こんな…
悲しい場面で聞きたくなかった。

俺たちは想い合っていた。

幸せになって…
たくさんの記念日、そしてふたりの誕生日、クリスマスにバレンタイン…
そんなたくさんの行事に胸膨らませ、そしていつか結婚して…。

そんな幸せな未来を描き笑い会えるときに聞きたかった。
ウキウキと未来に胸を躍らせ、アホみたいに夢見てバカみたいに笑い合える時に…。


でも今は違う。

今の俺はどう答えたらいいんだ…?

ナナの想いになんて答えたらいい?

俺だって好きなんだよ…。
お前のこと、ほんとに。


でも…無理なんだ。
無理だから…俺じゃあお前のこと幸せにしてやれないんだよ。



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