小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜

うそつき

【明日あの場所で会えないかな?ハル】


メールのやりとりを始めてからもうすでに2週間が経っていた。 


夏休みはあと半分。

マユがタケシに怒られて“7時に駅の時計の下”はお休み中だった。

「しばらくおとなしくしてないとうるさいからさぁ‥‥ゴメンね。」

マユはそう言ってたけどタケシの嫉妬が嬉しそうに見えた。

以前なら淋しくてどうしようもなかったと思うけれど私にはハルトがいた。


私は毎日、夜になるとハルトとメールをして過ごした。


そんなある日、あのメールが来たんだ。



【明日あの場所で会えないかな?ハル】



その時、改めて実感した。

私はハルトをだましているんだ‥‥嘘をついているんだ、って‥‥。


そしてかけてくれたすべての優しい言葉も全部私じゃない“ナナ”に向けられた言葉なんだ、って‥‥。


わかってたのに頭を殴られたような鈍い痛みを感じた。


本当のことを打ち明けようか‥‥

でも、きっと怒るよね‥‥。

だけど、
このままではいられない。




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