小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜
よく見るとほんの少しだけお腹がふっくらとしているような気がしないこともない。
でもそれも本当によくみないとわからないほどの変化。
言われなければまずわからない。



ナナコとは週に1回は会っている。

結婚はまだしていないが出産費用や養うお金など俺は頭を悩ませていた。
貯金なんて雀の涙ほどだ。

ジレンマに苛まれ俺はイライラする。


何より自分の気持ちに嘘をついたことへの葛藤は特に大きく、ナナコといても楽しいなんて思ったこともなかった。

それどころかナナコを生理的に受け付けなくさえなってしまった。
ナナコを見ると目眩がすことこさえあった。

もう、ナナコにキツイ言葉をかけないようにすることが精一杯だった…。



…こんなんで俺はナナコのそばにいる意味はあるのだろうか…?

シュンの子に会いたい。
その一心だったが、こんな状態でシュンの子を迎えてもダメなんじゃないだろうか…?

愛され、待ち焦がれられ、そして生まれてこなければいけないのに…



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