小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜
そんないきさつで俺はさまよっているのだ。

家に帰ればナナコが待っている…。

そう思うと足取りも重くなるのだ。

そして自分で別れを決めた女の子に恋い焦がれているなんて…お笑い草だよな…。



あーナナに会いてぇなぁ…。
たくさんのカップル。
10代〜30代くらいまで幅広くいるカップルたち。

みんな寒さに肩をよせあい通りを歩いていく。

このイルミネーションのずっと先には特大のクリスマスツリーがある。
数年前、この商店街の人たちが商店街の再起をかけて設置し、それが話題を呼び毎年デートスポットとして成長し続けている。

去年は俺も来たな…。

あー俺なんでこんなとこ通っちゃったんだろ…。
回り道したくてうろついてここまで来てしまった。



―――やっぱ帰ろう。

そう思い、引き返そうと顔を上げたその瞬間……。



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