小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜
―――そういえば…。

昨日ナナコを抱いたときに感じた違和感。

…どこかおかしい…
ひっかかる…
なんだっけ…

お腹だ。
…そう思ったのはぺちゃんこのお腹…。



「ハルト!?」



電話中なのも忘れて放心していた俺をタクトが現実に引き戻す。



「俺…」

「ハルト!お前ナナコちゃんと今すぐ別れた方がいい。結婚する必要なんかないんだ。」

タクト……

「…もう…遅ぇよ…」

「え…?」

「もう遅い…。俺…昨日ナナコとヤっちゃったんだ…」

「……」




何で今日なんだよ。
何で昨日じゃなかったんだよ。

せめて昨日知っていれば、そうすれば俺はナナコとヤったりしてなかった。

……そうか?

いや…違う。


結局俺の弱さが原因だ。
ナナコの嘘を知ってようと知らなかろうと俺が強い心を持ってさえいればよかっただけの話。


すべて自分で招いたことだった…。



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