小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜
その日の放課後。

ヤヨが教室に迎えに来たリョウくんと帰っていくと私とマユのふたりが残る。
私はいつものようにサトルの部活を待とうと自分の席に座る。
するといつもはさっさと帰っていくマユが隣の席の椅子をひいた。


「ねぇ、私もサトルのこと待っててもいぃ?」


「えっ?」


どういう風のふきまわし?
マユはいつもならタケシとの放課後デートの為にそそくさと帰っていくのに…。
タケシの浮気騒動以来、マユはタケシへの想いを改めて感じたみたい。
自分が遊んだりフラフラしてるからタケシも…って反省したみたいで夏休み以来夜遊びもしなくなった。
もちろん私もなんだけど…。
そのマユがタケシに会わないでサトルを待つ…?
何かある!



「待つのはいいけど…どしたの?」


さぐりを入れるとマユは歯切れ悪く「うん…チョットね…」と答えて誤魔化すように笑った。



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