小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜
「それより…さ…」


マユが声をひそめた。
放課後の教室。
私たち以外、もう誰も残っていない。
1ー6の教室はもう私たちの貸し切り。

でも声をワントーン下げたマユは続けた。




「ナナたち、もう…した?」




「…した?」


「うん、した?」


「……!」



ようやくマユの言う意味に思い当たり赤くなる。


「ちょっ…何ッ!?急に…ッ!」


意味もなく焦る私。





「やっぱり、まだなんだ。」

いつも通りのマユの追及。


「…それは…まぁ…」

しどろもどろに答える私。

「やっぱりね〜!」


マユはそう言うとニヤニヤと笑った。
ほんとこの笑いには参っちゃう。


「そっか〜そっか〜!」

「何?なによぉ〜!?」

「べーつーにぃー!」

「…もうっ!」



マユは結局何なのか教えてくれようとはせず、その代わりにこう言った。


「幸せだよ。好きな人とくっついてるのって。」


そのマユの表情は今まで見た中で、とてもキレイだった…。




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