小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜
「うん!そうだよ!そうしなよ!それが身を引いたサトルのタメにもいいよ…!」
マユもそう言ってくれた。

「でも…いいのかな…。それに私、ハルトに冷たくしたし…」

私の心はまだ踏ん切りがつかない。

サトルのこと考えたらやっぱり…。



「いい?どうしたってもうサトルを傷つけたことには変わりないの!わかる?ナナ!」

ヤヨが私の心を見透かしたように言った。

「もう、自分の気持ちに素直になるしかないんだよ?」

「…うん。」

「それに…」

ヤヨの言葉が身にしみた。
…のに…。


「それにっ!そうしてくれればサトルも諦めて私を好きになってくれるかも!」


ふざけたみたいに言ったヤヨ。
ほんとはそんなこと、思ってないくせに…。
私の背中を押してくれるために、わざとこんな風に言ってくれたんでしょ…?

ヤヨの赤い鼻が痛々しかった。


でもそこまでして私を思ってくれる親友たち…。


「ありがとう…ありがとね…ヤヨ。マユ。」


私は自分の気持ちに正直になることを心に誓った。



< 277 / 416 >

この作品をシェア

pagetop