小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜
…この声は……。




「ハルト…?」




そう。

そこには塀の前にしゃがみこみ、寒そうに手を組むハルトの姿…。

どうしてこんなところにいるの…?



「ハックショッ!」



また大きなくしゃみをひとつしてハルトが立ち上がる。


そして私の目の前まで歩みより、

私を抱きしめた。



「…しつこいな。俺……」


ハルトの体、冷たい…。
まるで氷みたいだよ…。
いつからここで座ってたの?
何時間ここで待ってたの…?


愛しさが込み上げてきて押さえきれない。


「私…ハルトに電話しようと思ってたんだよ…?家に帰ったら何より先に…。…あっ!ケータイ充電切れてて…」


「うん。」


「それで…ね…」


「うん?」


「それで…サトル…彼氏とは別れて…マユにもヤヨにも…あっヤヨって友達なんだけどしっかり者でね…って…もう…何言ってるんだろう…?」


「うん…」


ハルトは「うん」ってうなずきながら私の話を聞いていてくれた。

ただただひたすらそうして包み込んでくれる。


ハルト…


ハルト…



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