小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜
「ハルト〜!もう行こうよ〜!」


CDショップの店内。

ヘッドフォンをつけたままCDの試聴コーナーなら動こうとしないハルトをつつく。

「…もぅちょっと…!」


ハルトと私はこうしてよくCDショップで試聴をした。

2つついているヘッドフォンを1つずつつけて、同じ音楽を聴く。

聴くのはいつも洋楽。
特にUKのCDが多かった。

イントロが流れる。


「「……コレ!!」」


ビックリするくらい同じタイミングで同じ曲に惹かれた。

私たちは音楽の趣味から映画の好みまでとてもよく似ていた。
感性が、似ているみたい。



いつもは楽しい試聴デートなんだけど…今日は…

バレンタインだよ?
ハルト?


夢中になっているハルトを横目に私はそっとその場を離れる。


冬の店内ってなんでこんなに暑いんだろう?
コート着てるんだからこんなに暖めてくれなくてもいいのに…!

いつもは「あったかぁい!」と喜ぶくせに、今日はこの暖かさが恨めしい。

せっかく手作りしたチョコレート、溶けちゃうよー!


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