小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜
「ナ〜ナっ!」

呼ばれて辺りを見回すとマユが笑顔で手を振ってた。

「ゴメンっ!遅れた?」

ケータイで時間を確認する。
7時12分。
12分の遅刻だ。


「いいよ、いいよ!私も今来たとこだし!」


マユは大きな目を少し細めて笑った。

私たちの待ち合わせはいつもどの駅にもありそうな大きな時計の下。

毎日夜7時になると、誘われなくてもここに集まるんだ。

今日のマユはオシャレなターコイズブルーのチュニックに形のいいデニム。
とても似合っててカッコいい。

美人なのに気取らない。
そして明るくて人懐こい。

マユは私のアコガレだった。


ふたりで駅前をブラブラするとすぐにナンパされる。


───これは


マユの美人効果なんじゃないかと思う。

私は、
どんなに化粧しても大人っぽい服装をしても、とっても童顔。

丸くて大きな目に小さい口‥‥。


キライ。


誰に似てるんだろう?

そんなこともわかんない、私のカオ。



「ねぇねぇ〜二人ヒマなん?」




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