小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜
「……?なぁに?変な子ねぇ…」


そう言って笑った。


足がガクガクと震えて歩くことさえ出来そうになかった。

だからお母さんがキッチンに消えるのを見届けてから、歩き出した。

といってもまるで生まれたての小鹿みたいにしか歩けない。



自分の足なのに

自分の足じゃないみたいで、


私はなんとか2階の自分の部屋を目指して階段を上った。


一段…

一段…












部屋に入ると少しだけホッとした。


電気を点け、お腹に隠していたスティックを出すと箱に戻してから机の引き出しにしまった。


…どうしよう…?

…どうしたら…?


ふと思い付き、ケータイを探す。

マユに相談しよう、そう思って。

でも…


「あっ…!」


ケータイはバッグの中。

バッグはカラオケに置いてきた…。



だめだな…私…。



私は諦めてベッドに横になった。

さっきまであんなに気持ち悪かったのに今はちっともなんともない。







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