小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜
「…ハルトさんには…言ったの?」


マユが1番はじめに言ったのはその一言。

当たり前のセリフなんだろうと思う。

妊娠したら彼氏、もしくは元カレに相談するのが普通かもしれない。

でも、
私はマユの期待を裏切る。



「ううん。言ってないし、言わない。」



マユは顔をしかめると怒ったみたいに言った。



「何言ってんの!?ハルトさんのこと、今も好きなくせに!強がってないで頼りなよ!!」



私のことを想って怒ってくれる。



でも…

でも、違うの…。

そういうことじゃ、ないんだよ…?




「心配しなくてもハルトさん、ナナのところに戻ってきてくれるよ!」



違うの…

違うの…



「マユ、違うんだ…。」



マユの言葉に私は重い、重い口を開く。



それこそ何重にもかけたたくさんの鍵を一つずつ取り除くように。



今まで誰にも言わなかった…

ううん、

今まで誰にも言えなかった、


あの…


別れの日の続きを………









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